荻 大介 (デモクラティックスクール宙 生徒・13歳)
----デモクラティックスクールとの出会い
7歳くらいくらいから学校行かなくなった。
宙(そら)に来たのは、たまたまお兄ちゃんが宙に通っていたから。ある日お兄ちゃんについて行ってみた。
宙の最初の印象は、あんまりない。
その頃はまだデモクラティックスクールになってなっていなくて、あんまり魅力を感じなかったからかなぁ。自分の年齢もまだ小さかったし。
スクールに関わりはじめたのは9歳のときで、上の年代のメンバーがちょうどみんな卒業して、自分たちしかいなくなったとき。
自分たちからやってみようかな、という感じだった。
けど、その年の9月くらいに、いきなり学校に行った。宙をいちど辞めた。
いま思うと、学校に行かないといけない、と悩みもあったのかも。
1ヶ月半くらい学校に行ってみて、自分には学校のやり方が合っていないとはっきり分かった。
そして宙に戻るとき、「宙でやって行こう」と本気で思った。
12歳になって、「自分たちで宙をよくしよう」と年上のメンバーの子と一緒に話し合って、スクールの代表に立候補して、それが総会で認められて、(子どもで初めてとなる) 代表になった。
代表になってからは、広報とかスクールのスタッフのシステムとか、いろいろ試行錯誤した。
代表になってみて感じたことは、「代表が宙を変えるわけじゃなくて、メンバーが変えるものなんだ」ってこと。
みんなが好きなことをやってたらスクールはおもしろくなると思う。
宙がおもしろいかおもしろくないかは、自分が今をおもしろいかどうかってことなんだと思う。
----ブラックバス釣り
釣りをずっと宙でやって行くようになって、スクールが充実してるという実感がある。
毎日朝から猪名川に行って、午前中はずっとバス釣りをしてる。今年に入ってからは、毎日毎日ずっとやってる。
好きなことだから、毎日でもやれる。
逆に毎日やっておかないと、釣りの微妙な感覚が鈍りそうで怖いし。
毎月1回はバストーナメントに出場するようにもなった。宙の活動費で琵琶湖や彦根港、草津なんかに行って、60cm以上の大物バスを釣れるような場所に出かけたりしている。
家でもらったごはん代も交通費もできるだけ使わずに(自転車でスクールまで行くようにして)お金をためて、竿やリールやルアーをレベルアップしてみたり。今までよくやっていたゲームとか読んでたまんがは、すべて売って、釣り用具に変わった。
バス釣りは、宙と一緒で、自分で考えることができないと楽しくない。1日中考えて釣りをすることができる。
バス釣りの魅力は、個人で磨ける技がたくさんある。それが魅力。
あと、バス釣りでは何歳でもスポンサーが付いてくれてプロになれる。
宙で少なくても2、3年は釣りを目一杯やってみたいと思う。
その間にバス釣りのトーナメントの年間優勝を目指して、毎月試合に出ていこうと思う。
日本のトーナメントで実績を積んで、スポンサーを見つけて、アメリカでのバスフィッシングのプロになりたい。(やっぱりバスフィッシングの世界は、日本でのプロよりもアメリカのプロの方がレベルや挌が高いから)
----他にしたこと
釣りの他には、料理をすることにのめり込んだこともあった。
初めて作った料理は、訳の分からないしょうがとニンニクと春雨に調味料を適当に入れたようなやつで、我慢して食べた無言の味(まずかった)。
それがきっかけでおいしい料理を作るために宙でのお昼ごはんはずっと料理してた。
そのときは、ただ作りたいだけで、スタッフにお昼ごはんを200円で提供してたこともあった。
作ったメニューは、小麦粉から手打ちうどんを打ってみたり、夏なのにクリームシチューを煮込んでみたり、パエリアをつくったり(作り方を間違えて失敗だった)、ジャガイモの冷製スープ(ビシソワーズというのだよ!)などなど
料理は釣りを始めるまで、ずっとやってた。
そのときは料理人になるつもりで、ずっとやってた。
他にやってることは、野球。
もともとは、ぜんぜん野球のルールも知らなかったんだけど、宙で野球のテレビゲームを他のメンバーがしてて、おもしろそうだったからテレビゲームで野球ゲームをするようになった。
そのうち、実際にもやってみたくなって、宙のメンバーとキャッチボールをはじめて、地域での少年野球のチームに入って、今でもいろんな年齢のいてる草野球チームのキャッチャーとして、毎週野球をしてる。
けど、野球はあくまでも趣味。
バス釣りは将来につながっていく学びだと思ってる。だから、スクールでは釣りを中心に置いてやってる。
----デモクラティックスクールとは?
自分にとって、デモクラティックスクールは「新たにつくれる学校」。
学びがつくれる。自分のなりたい人生がつくれる。自分の時間・場所がつくれる。
ただ、自分が動かないといけない。
従来の学校だったら、いろんなことを押しつけられることで、ものごとを嫌いになってしまう。
どうして、短期間でそれをやらされないといけないのか、と思う。
「音楽会」とかもそのひとつ。
それを学校でやらされなかったら、宙で音楽に出会ってたら、音楽はもっと好きだったかもしれない。
----最後に宙についてひとこと。
宙にいてて自分はおもしろいと思う。
好きなことをずっとやっていれるから。いまは釣り。
「すきなことができる」のは、本当は当たりまえのはず。
でも、いま自分の知ってるところで、自分でやりたいことをとことん学べる学校は宙しかない。
宙と比べられるのはどこにもない。